ビジネス 英語 〜外資系企業で働く人の体験談〜 > T・Yさん(女性)

T・Yさん(女性)

金融機関で勤務、外国人の同僚・上司とともに海外に出張し、現地においてプロジェクトの審査をしたり、国の経済の状況を調査する業務に携わる。

日々の業務、相手先との交渉、報告書の内容についての話し合いも英語で行う。また、様々な文化圏に赴くことで、それぞれの国や文化の違いを肌で感じる。

Q1.外国人とのコミュニケーションで失敗した経験(今でも鮮明に覚えているような経験)を教えてください

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1.高校生の頃、アメリカでホームステイをしたときのことです。ホストファミリーが私を気遣って、私を一人にしないように配慮してくれ、どこにでも私を連れて行ってくれました。あるとき、私が「No」をうまく言えなかったために、早朝からステイ先の子供の病院にまで付き合うはめになりました。せっかく日本人を預かるのだから家族のイベントにも付き合せて色んな経験をさせたい、というホストマザーの厚意によるものでしたが、私としては旅の疲れもあって、その時間は寝ていたかったのです。正直に「No」と言うことができていれば、この失敗は防げたのに、と、あのときの以後後地の悪さとともに、今でも鮮明に覚えています。

2.昨年ベジタリアンである上司とヨーロッパに出張に行ったとき。「野菜が入っていなければよい」と思い込んでいた私は、野菜の煮込みを注文しました。スープの出汁をとるのに鶏肉が使われていたのに気づかず、安心して勧めたのですが、鶏肉の破片が野菜の間に浮いているのをみて上司はカンカン。出汁までは気が回りませんでした。彼がベジタリアンである背景(文化的、宗教的)を理解していれば、防げた失敗だったと思います。

ミスコミュニケーションというのは、相手のバックグラウンド(文化背景)を知らないことが
原因となるものが多いものです。事前に、知識を深めておくことが大切です。

Q2.驚きを覚えた文化や習慣の違いはありましたか?あれば、その内容を教えてください

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1.3〜4年前、東南アジアで仕事をしていたとき、ミーティングが30分経っても始まりません。やきもきする日本人を尻目に、現地の人達は和やかに談笑しています。30分くらいなら遅刻にカウントしない、いわゆる「現地タイム」という習慣が存在することに驚きを覚えました。

時間に対する意識は、最も分かりやすい違いといえます。(日本でも、場所によって、かなり違います。)その場所に住む人の時間意識を知ることは、とても大切です。


2.数年前、アメリカの企業で仕事をしていたときのことです。欧米人、特にアメリカ人の場合、ビジネスの世界で自分を強く見せようとする傾向があるように感じました。初対面の挨拶で握手をしたとき、相手の握手の強さや、ミーティングでの声の大きさや押しの強さには、驚かされました。

欧米人の場合、強そうに見えて、実は内面では弱気というようなケースも
珍しくありません。このことを知っているだけでも、相手の押しの強さに惑わされず、
スムーズにコミュニケーションをとることが出来そうです。


3.数年前、南アジアを旅行したときに気づいたことですが、「Yes」を表すのに首を横に振る国があるのに驚きました。首を縦に振るのがYesというのが万国共通だと思っていましたが、スリランカやバングラデシュで、首を横に振ったり傾けたりしながら「Yes」を表す人々に、正直違和感と驚きを覚えました。

ジェスチャーは体に染み付いているので、つい意識しないまま使ってしまいます。要注意です。

Q3.日本人が抱いている外国人(国、文化圏は問わず)に対するイメージのなかで、これは違っていたという事実があれば教えてください

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1.2年前、ベトナム人の方と仕事をする機会がありました。ベトナムと聞くと、東南アジアののんびりしたイメージを持つことが多いと思いますが、全く正反対でした。高度経済成長の真っ只中にあるベトナムに暮らす人々は、むしろ、かつての日本の高度成長を支えた猛烈サラリーマンのイメージです。伸びている国は人にも活気があるなぁと、嬉しいサプライズでした。

2.2年前、仕事で中国に行く機会がありました。かつて私は、「中国人はせっかちで、列を作って並んだりはしない」というイメージを持っていましたが、そんなことはありませんでした。空港のカウンターで、きちんと列を作って並んでいる様を見て、オリンピックに向けて国際化が進んでいることを感じました。

アジアというのは、実は日本人にとって、未知の部分が多い地域なのかもしれないですね。でも、日本にとって最も身近な地域。もっと、りかいを深めたいものです。

Q4.外国人と接していて、ここは日本人も見習わなければいけないなと感じたことがあれば、教えてください

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1.数年前、アメリカの企業で働いていたときのこと。アメリカ人がビジネスの場において結果主義でドライであることを見習わなければいけないな、と感じました。日本人は、どちらかというとプロセス主義で、「あいつは頑張っていたから」という温情主義が通り勝ちです。同僚と私が提出した提案書をアメリカ人上司が見比べ、日頃からその上司と仲の良い同僚の提案書ではなく、内容の優れていた私の提案書が採用されました。その同僚は不満げでしたが、私が書いた提案書を読んで納得せざるを得ませんでした。結果主義はドライに見えますが、フェアな評価が下せるという意味では、日本人も見習うべきだと思います。

2.数年前、アメリカにある銀行で働いていたときのことです。アメリカ人の上司が、週末ホームパーティーに招待してくれました。そのパーティーで、素晴らしい学者である奥様やダウン症のお子さんを紹介して下さり、「この家族のために、上司は働いているのだな」と、家族を大事にする気持ちが伝わってきました。翌日からその上司を見る目が変わったのは言うまでもありません。日本人は、ともすれば家族と仕事を切り離して考える傾向があったり、家族が仕事の犠牲になることがあったりしますが、家族を大事にしながら仕事をする姿勢を見習わなければならないと感じました。

3.温かい家庭あってこそ、よい仕事が出来るという風潮は、見習うべきだと思います。数年前、南米人の上司と一緒に海外出張に行ったとき、あと3日出張を延長すれば相手先と契約が締結できるはずだったのですが、その上司は娘さんの誕生日パーティーを優先され、当初予定通りの日程で帰国されました。「明後日は私の娘の誕生日パーティーの準備をしなければならないから、また出直します。」と契約相手に話している姿をみて、暖かい人間性を感じました。常に仕事を優先させなければならないという雰囲気の中、家庭の事情を持ち出しにくい日本の風潮は、改めなければならないのではないかと感じました。

ビジネスに対する厳しさが徹底されている一方で、プライベートを大切にする。
ここは日本も見習うべき部分ですね。

海外赴任や留学で海外に住んだ経験がある人のなかには『日本は住みにくい』
という感想を持つ人も少なくありません。それも、こんなことが原因なのかなと感じます。

Q5.ここは日本人のほうが優れている、自信を持ってもいいと感じたことがあれば、教えてください

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1.日本人は、事前に根回しを行うことによって、会議を有意義な意思決定の場にできているような気がします。欧米人には根回しという習慣がないため、会議で声の大きい人の意見が通ることが多く、不満が残り勝ちです。

逆の発想でいえば、会議では、どんどん発言するだけでいいということです。
ここは利用できそうです。




Q6.『外国人とコミュニケーションをするときには、どんなことに注意しなければいけないでしょうか?』 こんな質問を受けたときに、あなたであれば、どんなアドバイスをしますか?

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1.外国人とコミュニケーションするときには、「以心伝心」は通用しないと心がけてください。特にクレーム関係は・・・。日本人は、場の雰囲気を察して発言を控えたり、遠まわしな表現で直接的な批判を避けたりしますが、特に相手が欧米人である場合、何事もはっきり口に出したほうがうまく行くこともあります。会議の場で日本人が怒りを露にしてクレームをはじめたら、最初は皆びっくりするかもしれませんが、「今まで何を考えているか見当もつかなかったけれど、そんなことを考えていたのか」と、却って好意的に捉えてもらうことができるものです。

これは分かっていても日本人にとっては実行しにくいことかもしれませんが、一度体験すると、言いたいことを素直に表現できることの自由さにはまると思います。

是非、一度お試しを!!

Q7.『外国人と働くこと』に関して、何か他人に伝えたいようなメッセージがあれば、自由にお書きください

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1.外国人と働くことで、日本人の良いところ、悪いところを見直すことができると思います。欧米人と働いてみると、「日本人は、会議では声が小さくて発言も控えめだけど、根回しが上手で結局意見を通せるのだな」と感じるでしょうし、東南アジアの人たちと働いてみると、「同じアジア人でも、日本人は神経質で細かいことにこだわり過ぎるな」と感じるでしょう。お互いの文化・習慣の長所・短所を認め合うことが出来れば、ビジネスの幅が広がると思います。

文化や習慣に優劣はありません。ただ違うだけです。その違いを認識して理解する。
そして、学べる部分はどんどん取り入れる。

これが真のコミュニケーションなのではと思います。

T・Yさんのインタビューを終えて

T・Yさんは日本文化、異文化というものを客観的な姿勢で観察されています。

その冷静さが円滑なコミュニケーションにつながっているのではと感じました。

素晴らしいビジネスパーソンだと思います。

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