ビジネス 英語 〜外資系企業で働く人の体験談〜 > A・Tさん(女性)

A・Tさん(女性)

銀行勤務では同僚として、日本語教師時代には
お客さんとして外国人と接してきた経験をもつATさん。

その経験、特にネイティブ以外の外国人と英語で
コミュニケーションをとってきた経験は、多くのビジネスパーソンにとって
学ぶべき点が多い内容といえます。

今回、ATさんにはその点を重点的にお聞きしました。

Q1.外国人とのコミュニケーションで失敗した経験(今でも鮮明に覚えているような経験)を教えてください

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コミュニケーションを上手にとるためには、やはり共通語である言葉をお互いに熟知していなければならないと思います。

韓国人と待ち合わせをしたときのことです。お互いの共通語は英語。電話で時間や場所を決め会うことになったのですが、どうも電話の向こうで言っている場所がわかりません。日本人の私も日本語訛りの英語を話しているのは自分でもわかっていましたが、韓国人のその人もかなりの韓国語訛りの英語でしたので、失礼だと思いつつも何度も聞き返してしまいました。

電話の向こうから聞こえる言葉は「ピュラットポームポー」。その前に言っていた駅の名前はわかったのですが、「ピュラットポームポー」はどうしてもわかりません。

「申し訳ないが、確認のためにメールで送ってくれないか?」とお願いしたところ、相手は「ワン・トゥー・スリー・ポー!」と声を荒げて言いました。

それでやっとわかりました。「platform 4」と言っていたのです。つまりは4番線。韓国語では「f」と「p」の区別があまりないらしく、日本人の私の耳には「platform 4」が「ピュラットポームポー」にしか聞こえなかったわけです。

日本ではいわゆる「アメリカ英語」を学生時代に教育されますが、実際には「日本語訛りのアメリカ英語」を話しています。また、日本人でなくても、それぞれの母国語が影響を及ぼし、特徴ある英語を話す外国人も多いです。そういった背景をきちんと理解しておけば、相手に失礼な聞き方をしなかったのではと、反省しきりでした。

英語=アメリカ発音、イギリス発音というふうに捉えがちですが、世界共通語であるからこそ、訛りも多様です。自分が付き合う国の人の発音は学んでおいたほうが良さそうです。

Q2.驚きを覚えた文化や習慣の違いはありましたか?あれば、その内容を教えてください

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(1)韓国の銀行も日本の銀行同様窓口が開くのは午前9時から午後3時までです。そして準備のために朝は8時半頃出勤します。私が勤めていた銀行はビルの一室を借りていたので、日本の銀行のようにきっかり9時にシャッターが開き、3時に閉まるということはなく、なんとなく9時ごろには業務を開始し、3時ごろには客足も途絶えて窓口終了、というようないいかげんさがありました。

課長以上の管理職はすべて本国韓国からの赴任者で、社内を飛び交う言葉は韓国語と日本語が半分半分、大きい取引先はほとんどが在日韓国系企業で、個人のお客様も韓国人がほとんどを占めていました。

ある日のことでした。6時に起きて通勤(痛勤?)電車に飛び込む毎日なのに、朝起きたらもう7時を回っています。どんなに頑張っても遅刻は間違いなし。でも一分でも早く行かなければと思い、ほぼ着の身着のままで家を出て電車に飛び込みました。

私が当時担当していたのは輸出の仕事でした。支払の処理はすべて午前中に行わなければなりませんので、一日の中でも昼食までは処理件数の多さと間違えてはいけないという緊張感で心身ともピーンと張り詰めている状態でした。

ですから、遅刻をしたら私だけでなく同じ部署の同僚、さらには取引先にも大迷惑になると思い、飛ぶように急いで会社へと行ったのです。しかし、案の定遅刻、制服に着替え上司に謝罪し、自分の机についたのは9時15分を過ぎていました。

席についてすぐ、机の上に置いてある書類の処理をはじめました。すると1分もしないうちに後ろから私を呼ぶ声がします。それは副支店長でした。遅刻について雷が落ちるものだろうと覚悟して副支店長の元へ行きましたが、副支店長の口から出た言葉は私の予想とは全く違うものでした。

「仕事はいいから、化粧をしてきなさい。」

私の頭の中は「?」がぐるぐると回っています。遅刻については何も言われず、すっぴんできた私の顔についての一言です。「社会人たるもの、遅刻とは何事だ!」という言葉が飛んでくるとばかり思っていたのに、これでしたから、かなり気が抜けてしまったのと同時に、「私の顔は化粧をしてなんぼなの?」と思ってしまいました。

私は店頭に座る業務を担当していたわけではないので、直接お客様と顔をあわせることもほとんどなく、それこそどんな格好をしていようともまずは仕事をきちんとこなすことが大切だと思っていましたが、「女性たるもの、仕事よりもまずは身だしなみから」という考えに、社会人としての心構えの日韓相違を大きく感じたときでした。

このへんの感覚の違いは、まさにお国柄です。その都度、順応していくしかなさそうです。

Q3日本人が抱いている外国人(国、文化圏は問わず)に対するイメージのなかで、これは違っていたという事実があれば教えてください

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日本人は日本語が母国語で、日本語しか話せないという人もたくさんいます。だからか、母国語が英語でない国の人は英語が話せないと思いがちです。しかし、決してそんなことはありません。外国人と接してみると、逆に一つの言語しか話せないという人の方が少数派のような気がします。

以前、取引先に出張で来ていた中米ニカラグアの人と一緒になったことがありました。中米というと「貧困」「危険」というイメージばかりが先行してしまいますが、彼はアメリカの大学を卒業しており、とてもきれいな英語を話していました。紹介されたときに、ニカラグアからきたと聞いて思わず Do you speak English? と口から出そうになりましたが、自己紹介を英語でされ、「変な質問をしなくてよかった」とほっと胸をなでおろしたものです。

また、彼と話していて教えられたのですが、彼もまた「アメリカ人」なのです。日本人は「アメリカ人」というと「USAの人」としか思えませんが、中米も南米もみなアメリカ大陸です。ですからニカラグア人もブラジル人もカナダ人もみな「アメリカ人」に違いないわけです。

私たち日本人が「アジア人」であるのと同じことなのだと考えれば、ごくごく当たり前のことですが、「アメリカ」というとどうしても「USA」しか浮かばない私はまだまだだなぁ、と感じさせられました。

言われてみると当たり前のことですが、なかなか実感できないことかもしれませんが、外国人とコミュニケーションをとる機会がある人は、こういったことを意識しておくだけでも違うと思います。

Q4.外国人と接していて、ここは日本人も見習わなければいけないなと感じたことがあれば、教えてください

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日本にいる外国人と接しているとよくあることですが、彼らは覚えたての日本語でもすぐに使ってコミュニケーションをとろうとします。日本人は英語を中学校から学んでも話せるようにはなかなかなりません。

それは「実践」が足りないからだという話をよく耳にしますが、彼らを見ていると確かに「実践」はかなり効果があるんだということを実感させられます。

日本語は他の言語に比べて語彙数がかなりありますから、日本人と同じレベルまで日本語の能力を上げるのは至難の業だと思いますが、彼らは覚えるとそれが正しかろうが間違いであろうがとにかく口に出して使っています。

これを繰り返すことで、彼らの日本語力はどんどん上がっていくようです。これは日本人にはけっこう難しいことだと思います。日本人も彼らを見習って、覚えた外国語をどんどん声に出して使っていけば、もっと語学力がアップするのではとつくづく感じます。

テレビに登場するような外国人コメンテーターのなかには、たどたどしい日本語を話す人もいます。それでもメディアに登場できるわけですから、言葉の運用については、軽く考えてもいいですね。

Q5.ここは日本人のほうが優れている、自信を持ってもいいと感じたことがあれば、教えてください

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日本人はとかく「自己主張がない」「自分の意見を持たない」といわれますが、それは逆から見れば「相手の話をきちんと聞ける」ということだと思います。

日本人は自分の考えを述べる前に、まず相手の考えを聞こうとします。それが「自己主張がない」ということに繋がること多いのですが、反対に外国人に自分の意見をまず主張すると、頭ごなしに否定され、逆に自分の主張ばかりを押し付けられることがとても多いです。

これは、日本語の特徴とも一致することだと思うのですが、英語はまず自分の意見をしっかり述べてからその理由を述べますが、日本語は理由をしっかり述べてから最後に意見を述べます。

これと関係があるのかどうかは不明ですが、日本人は相手の意見にきちんと耳を傾け、そしてそれを受け入れることができます。この点では日本人はとても優れていると思います。

短所は長所でもあります。いい方向に活かしたいものですね。

Q6.『外国人とコミュニケーションをするときには、どんなことに注意しなければいけないでしょうか?』 こんな質問を受けたときに、あなたであれば、どんなアドバイスをしますか?

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外国人といっても、世界には様々な国があり、様々な文化や習慣を持った人々がいます。なので、「外国人とコミュニケーションをとる」と考えるよりは、「異文化を持った人とコミュニケーションをとる」と考えるべきだと思います。ひとくくりに「アメリカ人」といっても、メキシコからの移民、中国からの移民、イタリアからの移民など、いろいろな背景を持った「アメリカ人」がいます。ですから、コミュニケーションをとる相手の背景や習慣、文化を理解し、それを受け入れることができる器の大きさを持っていなければならないと思います。

また、言語を2つ以上操る外国人はとても多いです。ですから、「英語を話す」というだけでひとくくりに考えてはいけません。日本人のように、一つの言葉しか話せないという人の方が世界では少数派です。

この考え、とても大切です。

Q7.『外国人と働くこと』に関して、何か他人に伝えたいようなメッセージがあれば、自由にお書きください

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日本人が日本文化を大切にするのと同様に、外国人もまた自文化を大切にし、誇りに思っています。また、外国人には様々な背景を持つ方が多く、いろいろな血が混じっている人もたくさんいます。外国人と接するときにはそういったバックグラウンドをきちんと理解し、相手に失礼のない態度をとるべきだと思います。友達レベルではなく、ビジネスでの関係ならなおさらです。

また、「日本は世界一」と思っている日本人はとても多いですが、ヨーロッパから見たらアジアの小さい島国でしかないのです。私たちがヨーロッパの人を見ただけでどこの国の人かわからないように、彼らも私たちを見ただけでは中国人なのか韓国人なのか日本人なのかわからないのです。

日本人は外国人に対して高圧的な態度をとりがちです。特にアジア人に対してはどうしても下にみてしまう人が多いようですが、彼らが日本人より下だということは決してありません。

同じアジア人ということを忘れてはいけません。外国人と一緒に仕事をするチャンスを得ても、このような考えを持って接したら、そのビジネスは決して成功しないと思います。外国人と一緒に仕事をするということは自分か相手かどちらかが自分のフィールド外で働かなければならないわけですから、その立場をお互いにきちんと理解し合うことが大切だと思います。

日本人の欠点のひとつが、出身国によって態度を変えてしまうことです。改めなければいけない点です。

A・Tさんのインタビューを終えて

A・Tさんはアジアや中東、南米の人間とも付き合いがあったということで、世界の多様性というものを深く実感されているというふうに感じました。

ビジネスの世界でも、たとえばビジネス英語と聞くと、アメリカやヨーロッパの人とのコミュニケーションを想像していますが、英語は世界共通語。色々な文化背景を持つ人とコトバを交わす機会があるわけです。

そういった意味で、英語を扱う人間というのは視野を広げることも必須といえます。

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